似て非なる2台のベスパ

2015年11月 6日
今日は2台のベスパの修理について

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この2台、見た目はほとんど同じ、ビンテージシリーズスモールボディー

1台は50SV、もう1台は125ET3

2台とも、点火系の不調とギア操作に不具合
同じお預かりタイミングで、同じ症状で入庫しました

では修理の内容も同じでしょうか?

結果は全く違う所を修理となりました
(詳しくはこちらで紹介させて頂いております)

まず点火系の不調
この2台、点火方式が違います
50SVは ポイント点火式
125ET3は CDI点火式
となっております。
ではそれぞれ、どの様な故障内容で、どの様に修理をしたのでしょうか

50SV
症状は、アイドリング中、突然エンジンが止まるのと、
ブレーキを踏んだ時にもエンジンが止まります
信号や、踏切の多い鎌倉
突然のエンジンストールは本当に困ってしまいますね。。。

ポイント周りを点検し
詳しい経緯はこちらにございますが
最終的な原因はブレーキランプとブレーキスイッチ

点火系の電源と、ブレーキランプの電源を共有しているこの車両
ブレーキランプが切れていると、ブレーキを踏んだ時、
点火回路が断線状態となってしまいます。
しかし今回バルブは切れてはいませんでした

では原因は何か?
W数の不適合です

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正しいバルブへ交換し、ブレーキを踏むと同時にストールする症状は
改善しましたが、ブレーキを踏んでいない時、突然ストールします

ブレーキを踏んでいない時、この車両のスイッチは導通し
点火回路が成立します

そこで可能性が有るのは、ブレーキスイッチの接触不良です
分解してみると、やはり接点が接触不良を起こしています

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接点を分解清掃し、組み立て
点火は安定し、アイドリングも非常に調子が良さそうです

125ET3
症状は点火をする時も有るのですが
ほとんど点火していないのでエンジンがかかりません
各コイル、ローターなどを点検し
こちらも詳しい経緯はこちらにございますが
最終的な原因は、コイルとCDI間の配線と
プラグコード

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製造からの経過年数、走行距離の多いこちらの車両
配線が折れ曲がったり、潰されたり、絶縁チューブも劣化が見られます

点火が漏電しているリーク音も聞こえていた、プラグコードも
絶縁カバーが傷んでいますね

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コイルとの接続ハンダを溶かし、純正同色の配線を手配し、ハンダをし直し交換します
今度は配線が傷まない様、カバーをし、端子も新しく圧着し直し、こちらは完成

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次にプラグコードを交換し、こちらにもカバーを付け、接続部分をしっかり絶縁します
こちらも点火は安定し非常に調子が良さそうです



2台とも点火系が完了しエンジンは好調です。では次に
クラッチ操作、ギア操作の不具合

50SV
症状はクラッチが重く、ギア操作が固く、ニュートラルに入れづらい
まずはメンテナンスを兼ねて、各稼働部分とワイヤーを分解給油
問題有りません
ミッションオイルも念の為交換
問題有りません
クラッチを握った感じ、ギアを入れた時の感じから
クラッチ自体の問題の様です
操作した感じ、この車両、恐らく強化クラッチが入っていますね
分解してみましょう

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やはり4枚プレートの強化クラッチ
このクラッチ、確かに大きく排気量を変更した時に必要ですが
バリ取り、ひずみ取りなど、何をしてもクラッチを完全に切る事が
ほぼ出来ません

強化クラッチが必要なほどの排気量にはなっていません
メインが鎌倉の街乗りという事を考え、
強化スプリングは残し、3枚の純正クラッチに交換します

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ベスパのクラッチですが、新品をそのまま組んではいけません
しっかりとした下処理をしないと、断続共に不調が出ます
そこはポイントを押さえた当店で、しっかり行い組み立てます
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レバーの重さは強化スプリングで残りましたが、クラッチ切れが良く、
ギア操作が軽いので
握る時間も短縮される事で、さほど気になりません
ニュートラルもベスパ特有のクセをつかめばスコンと入ります

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快適になりこれで完成です

後日ご来店頂いた際、『凄く乗りやすくなりました!』
とのお声がとても印象的です

125ET3
症状はクラッチが重く、ギア操作も重い

こちらは点火系と同じく、経年劣化により
稼働部分、ワイヤーの動き自体が悪くなっています。

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左ハンドルを全て分解し、錆や固形化したグリスを丁寧に磨き取ります
しっかりグリスアップをし、組み立てれば、動きはとても良くなります

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次に古いインナーワイヤーを抜き取り、アウターワイヤーを清掃、給油
新しいインナーワイヤーもしっかりグリスアップし
スロットルプーリーも丁寧にバリを取り、グリスアップし、全てを組み立てます

クラッチも同様に、レバー可動部を分解清掃と給油、アウターワイヤーを清掃給油
インナーワイヤーをグリスアップし交換します

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全てのワイヤーを、絶妙な遊びに調子し
ミッションオイルを交換し、完成です

快適な操作具合になりました
乗って帰られる際
1速に入れると同時に
『軽い!』と大きな声と共に走って行かれる姿がとても印象的です

いかがでしたでしょか、同じ様な症状でも
これだけやるべき処置が変わってきます

診断、判断、処置、全てを正しく行う事が早く正確な修理には必要です

お困りの事がございましたら、お気軽にお問い合わせください