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ホンダPCX125、最初のご相談ではロングツーリング中の
有料道路走行を目的とした排気量変更、エンジンボアアップが目的でしたが
エンジンにちょっとした問題が発覚しオーバーホールがメインとなりました

エンジンの問題点
それはオイル消費過多という状態です

最終的には 約1,000km/1Lの消費
これはしっかりとした確認が必要ですね

それでは早速外装の分解
その後、さっとエンジンを下ろします

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20年以上の整備士経験上、エンジンの脱着はお任せ下さい

この後のオーバーホールも全て当店で行います

今回はシリンダーから上だけで済みましたが
クランク、ミッションも全て対応致します

ボーリングや、その他 各加工も当方お勧めの外注先で
ほとんどの事をお受け出来ますので何かございましたら
ご相談下さい

今回も事前にカムシャフトなどをWPC処理しております

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ここでWPCについて少々

詳しい事はNE有限会社様のホームページに記載がございますので
ここでは簡単にご説明します
 WPC処理ってなに??
 Wide Peening and Cleaning=幅広く 打ちつけて 清掃する
 とてもとても小さな粒を適切で均等な圧力で打ち付ける事で
 金属の表面を、均一に堅く、しかも粘り強い状態に変えていきます
 そして粒を打ち付ける事で出来たとても小さなへこみ1つ1つが
 オイル溜まりとなり、潤滑性を向上し大幅にフリクションを改善することができます。
 そして更にモリブデンを打ちつける事で母材にモリブデン層を形成し
 一段とフリクションを改善していきます
 
ピストンはWPC処理がされたボアアップキットだった為
今回はハイリフトカムシャフトとピストンピン、
ついでにドライブプーリーボスを処理してもらいました


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水冷のPCX
ウォーターポンプやサーモスタットを外して
いよいよエンジンの分解です

分解してみると、かなりのオイルが流入し、炭化した固形物がヘッド、バルブ、ピストンに付着しています

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今回、シリンダーとピストンは交換する事が前提ですので、現状を軽く確認
大きな摩耗、傷は無いので、オイル上がりでは無く、オイル下がりの様ですね

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オイル上がりとオイル下がり?
 オイル上がりとはクランクからかき上げられたり、オイルジェットて噴射された
 ピストン、シリンダーの潤滑、冷却に使われるオイルが、ピストンリング、シリンダーの摩耗によって
 燃焼室内に入り込み、燃焼してしまう症状です

 オイル下がりとは、インテーク、エキゾーストバルブのバルブステムシールの劣化、
 バルブ、バルブガイドの摩耗によって起こるバルブのガタつきによるバルブステムシール隙間から
 カムシャフト、ロッカーアーム、バルブを潤滑、冷却に使われるオイルが
 燃焼室内に入り込み、燃焼してしまう症状です

先ほども書きましたが、今回はシリンダーとピストンは特に問題無し
今回シリンダーとピストンは交換するので、オイル下がりをしっかり対策していきましょう

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それではまず、バルブを抜き取ります
専用工具でスプリングを圧縮し、コッタを外し分解
バルブが外れます

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そこで出てくるのが、バルブステムシール
オイル下がりの原因のひとつです
抜き取ったバルブステムのオイルの付着具合から
原因がほぼ特定できます
バルブステムシールは後ほど新品を組みつけます

バルブの状態をお客様に見て頂いたところ、交換のご要望を頂きましたので
交換します
確かにバルブシートとの当たり面に、かなりの荒れが見られます

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燃焼室のカーボンもしっかり清掃
バルブシートも傷めない様に注意しながら清掃します

バルブガイドと新品バルブのガタを確認します
ガイドの摩耗は問題無さそうです

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新品のバルブとバルブシートをすり合わせします
当たり面の位置、当たり幅を確認
ほんの少し外当たりぎみですが、規定値に入っていますので全く問題有りません

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規定値を外れている場合、シートカットを行います
通常光明丹での確認も行いますが、バルブが新品で、バルブ側も、シート側も
しっかりとした、すり合わせ跡が有り、幅も全て均一なので全く問題無さそうです

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バルブステムシールを交換し
バルブ、バルブスプリング、リテーナーを組んだら、バルブコッタを入れバルブを固定
ここで忘れずコッタを締めます
これを忘れると、最初の始動でコッタが外れて大変な事になりかねません

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それでは最後に密着度を確認します
浸透性の高い液体を、燃焼室いっぱいに入れ
ポートに全く染み出てこない事を確認します

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全く染み出てきません
確実に密着していますね!

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それではここでWPC処理を行ったカムシャフトの取り付けです
ハイリフトのカムにする事で、ノーマルより多くの吸気と排気が可能になります
PCXはノーマルでローラーロッカーアーム、ホンダのこだわりを感じますね
ここでしっかりバルブクリアランスも調整しておきましょう

これでヘッドは完成です!!

ここで忘れてはいけないクランクの点検です
シャフトから感じる回転の異常、コンロッドから感じるガタの有無
異常が発生したクランクシャフトも、正常なクランクシャフトも
異常が発生したクランクベアリングも、正常なクランクベアリングも
何個も、何個も見てきました、分解しない状態での点検は
感覚をしっかり感じ取る事が大切です
じっくり、しっかり点検します

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今回クランクには異常は有りませんね


いよいよ、ピストン、シリンダー、組み上がったヘッドを組み立てです
今回のボアアップキットのピストンはどうやら圧縮は高くない様ですね
しかしこの後いろいろ手を入れますので、走りの変化が楽しみです

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正確にピストンリングを組み、合口の位置を正しくセットし、シリンダーを組みます
ヘッドを組んで、トルクレンチで正確に組みつけ

そして大切なカムタイミングを合わせます
合わせマークも大切ですが、まずは合わせマークと、実際のピストンの位置も
しっかり確認しておくことが大切です
それぞれのマークがどの様な状態を現わしているのか
また、基本的なクランク、ピストン、カムシャフトの正しい位置関係も知っておく事が大切です

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ハイカムを組んでいるのでタイミングの合わせ不良は厳禁
慎重に確認していきます

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カムチェーンを正確に張りクランキングの準備は完了です

ここで必ず手でクランキングをし、異常を確認します
ここでの異常は、セルでのクランキング、もしくはエンジンがかかってしまってからでは
手遅れになります
回転に引っかかりが無いか、しっかりと見ておきましょう

異常が無いので、本来確認の為、圧縮圧力を測定しますが、PCXのセルモーターは、
簡単なDCモータでは無いので、エンジンを車体に乗せてから測定とします

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ウォーターポンプ、サーモスタットなどのガスケットを交換して組み立て
エンジン単体は完成です



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エンジンを車体に組みつけ、各電装関係も取り付け、インジェクターは作動しない様にして
圧縮圧力を測定
11.25kg/cm2
やはり特別高くない、ほど良い数字です

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エンジンとしては、これで確実に組まれている事が
確認出来ました




今回のご依頼は、これで終わりでは有りません

スロットルボディーも交換します

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このスロットルボディー、PCX125に対しビックボアとなるPCX150用のボアを
更に拡張したスペシャル品!スロットルバタフライも、もちろん大経の物に交換されています

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エンジンのボアアップ、スロットルボディーのボアアップとくれば、インジェクターも交換です
吐出量の多いインジェクターに交換します

各部品を取り付けて始動確認と行きますが、ここで1つやる事が有りますね
先ほど圧縮圧力測定時にインジェクターを作動しない様にしました
そしてスロットルボディーを交換したので、コンピューターのリセットをします

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さていよいよ始動確認!

エンジンはすぐに始動し、異音も無くとても良い感じです
冷却水を入れ、しっかりエア抜きをして、メカニカルな部分は完成しました

さて後は何でしょう?

排気量が変更され、スロットルボディーの口径が変更され、インジェクターが変更され
ノーマルではないエアクリーナーが装着されたこの車両

O2センサーフィードバック機能があるPCXとはいえ、ここまで来るとこれが必要です

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燃料マッピングを行うサブコンピューターの取り付けです

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ここでも正確に配線を結線、1本1本丁寧にハンダ処理をし
テーピングで配線を保護、絶縁、見た目にも綺麗に仕上げます

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全ての確認を済ませ、外装を組み立て、いよいよ完成です

モトビレッジの小さな小さな工場ではこの様な事もさせて頂いております
ご興味ある方は是非一度ご相談ください
じっくりしっかり行うためにも、基本的に秋から冬にお受けさせて頂いておりますので
宜しくお願い致します

この度はご用命頂き、誠にありがとうございました

慣らしを行いながらのオイル交換や、各部の調整など、またのご来店お待ちしております